ADHDは30人に1人の割合で見られる発達障がいです。
決して珍しいものではなく、どの子にでも起こる可能性があります。
大切なのはADHDへの理解と正しい治療です。
何かと周囲から誤解を受けやすく、本人も社会生活に悩みを生じやすいADHD。
少しでも改善へと向かうために、お薬や病院の選び方について学んでいきましょう。
ADHD3つの特徴とは?
ADHDは、注意欠陥多動性症候群のことを言います。
著しい知的な遅れはありませんが、以下の様な特徴を持っています。
不注意…注意力・集中力がない。忘れ物がやたらと多いなど。
多動性…言動に落ち着きがない。授業中の立ち歩き、話すと止まらないなど。
衝動性…本能のまま衝動的に動く。急な大声や乱暴な行為など欲求が抑えられない傾向。
ADHDはこのように、3つの特徴を持つ脳の機能障がいとなります。
ADHDはわかりにくい?誤解を受けやすい?
障がいとは言っても、ご紹介した3つの要素は2歳児程度であればごく普通のことです。
どんな子でも、落ち着きがないですし、興味がすぐに移って集中力に欠けることもあるでしょう。
こうした、当たり前の子供らしい言動が、やや大きく通常よりもはみ出してしまうのがADHDという認識です。
そのため、「子供だから仕方ない」と、症状が出ていても判別してもらいにくいようです。
年齢相応の言動をしにくい
障がいのない子は年齢があがっていくにつれ、統制がとれて、社会生活が送れるようになります。
その一方で、ADHDの子は年齢相応の行動は取りづらい傾向にあります。
たとえば、衝動性の部分が強く出てしまって「ただの乱暴者」のレッテルを貼られることもあります。
親や本人が悪いわけではない
不注意の部分が出てしまうと、「親のしつけが悪い」と周囲から誤解を受けてしまいやすくなることも。
もちろん、親の育て方が悪いなんてことはありませんし、子供も悪気があって悪い態度をとっているわけではありません。
あくまでもADHDという脳機能の障がいが原因であり、誰かが悪いわけではないんですね。
周囲の理解がないと余計な誤解を招きやすい、それはADHDのリスクといえるでしょう。
ADHDの治療はどのように行う?
ADHDであっても、生活上の悩みが生じていないならば問題はありません。
ですが、周囲からの目や仕事に支障をきたすなど、本人が生き辛さを感じている場合は別です。
また、周囲の人に迷惑がかかってしまう…そういったケースでは治療対象となりえます。
ADHDの治療のゴールは困っている・悩んでいる状況からの脱却となります。
サポートによる治療
ADHD治療の一つ目としては教育的療育的支援です。
子どもの自信を回復させることが重視されます。
成長・発達に合わせてトレーニングを行い、社会に順応できるようにしていきます。
発達障がいは一人で解決するのはとても困難です。
教育・療育によりサポートをしていくことで、徐々に症状を改善させていく必要があります。
お薬による治療
ADHD治療の二つ目は必要に応じた投薬治療です。
これは、教育的療育的支援と同時に行われることがほとんどです。
詳しいお薬の情報については後述しますが、使用されるのは「コンサータ」と「ストラテラ」の2つになります(2015年現在)。
専門の医師の指示に従い、用法用量を守って使用することが重要になります。
保護者への教育
ADHD治療の三つ目となるのが周囲…特に保護者への教育です。
発達障がいは子どもへ治療アプローチするだけでは解決しにくいものです。
実は保護者の対応を変えることも重要で、ペアレント・トレーニングというものが必要になります。
子どもの行動に対する親の反応の仕方を教え、学んでもらうことが大切なんですね。
病気について理解し、子どもとの生活をどうしていくかをしっかりと覚えていきます。
ADHD治療における病院の選び方5つのポイント
ADHD治療では病院・医師の力が必要不可欠です。
注意欠陥多動性障害をスムーズに治療・改善するための病院選びのポイントをご紹介します。
診断・治療実績をチェックする
ADHDは精神領域の中でも特殊なものになります。
診断基準も非常に主観的になりやすいですし、実は誤診が多いのも否めません。
ですから、医師の診断・治療実績は病院を選ぶ際の重要なポイントとなります。
コミュニケーションが取れる
ADHDは早急に判断できる疾患ではありません。
また、症状の出方や傾向・強さも個人個人で全く違います。
ですから、病院を選ぶ際には「話をよく聞いてくれる」「親身になってくれる」そんな先生を探しましょう。
お薬を飲めば良い、というわけではない
投薬治療に関する部分も、病院選びではポイントになります。
というのも、精神薬の過剰投与での2次障がいの危険性があるからです。
実際に、過去に「過剰投与」による問題が大きく取り上げられたりしています。
「薬だけ飲めば良い」そういう医師にあたらないよう、慎重に病院選びを行わなければいけません。
通いやすい場所である
できることなら、住んでいる地域に近い病院であることが理想です。
状況に応じて薬のコントロールなどしていく必要があるからです。
また、何か困ったことが合った時にすぐに相談できる、受診できるというのは安心感があります。
頼れる病院が近場にあることで精神的な支えになることもあるんですね。
自治体の協力を得よう
とはいっても、専門の病院を近場で探すとなると、これが案外大変です。
その場合は、自治体のこども発達相談センターなどに相談してみるのも良いでしょう。
発達センターには専門の心理士さんなどが、適切にアドバイスをしてくれます。
また、ADHD治療を取り扱っている地域の病院の情報を教えてくれることもあるでしょう。
ネットで検索するのも悪くはありませんが、面と向かっての方が安心できるものです。
ADHD治療をする病院を探すなら、自治体が運営するセンターでまずは問い合わせてみることをオススメします。
ADHDの治療で使われる2つの薬について
ADHDの治療に使われている薬は2015年現在、「コンサータ」と「ストラテラ」の2つです。
どちらとも、厳しく管理されていていますので、安易に適応外処方はできない薬物です。
コンサータの効果
今は「コンサータ(メチルフェニデート)」が主流になってきています。
この薬は中枢神経刺激薬と呼ばれるものになります。
ADHDは前頭前野の血流が悪く、脳の覚醒度が低く、行動統制がしにくくなっている…という仕組みになっています。
コンサータは働きが弱くなった脳を刺激して、覚醒させる作用があるんですね。
この作用によりADHDの人たちが行動のセルフコントロールをしやすくする、それがお薬の目的です。
コンサータの副作用
コンサータは即効性が高いのですが副作用も当然あります。
症状としては寝つきが悪くなったり、食欲不振や頭痛などがあるようです。
体質・体調によって休薬日を設けたりする必要がでてくることもあるでしょう。
投薬計画についてしっかりと医師と密に相談し、コンサータの使用をしていくことが大切です。
ストラテラの効果
ADHD治療薬として使われているもう1つは「ストラテラ」というもの。
神経伝達物質であるノルアドレナリンの再取り込みを阻害するお薬です。
コンサータと違って、効き目がわかるまでにやや時間がかかります。
だいたい平均して、ストラテラ服用から1か月ほどかかると言われています。
もちろん個人差はありますので、早い人もいれば遅い人もいるでしょう。
ストラテラは元々抗うつ剤で開発されたのですが、効果はあまり明確ではありませんでした。
むしろADHDに対する効果があることがわかり、現在はこちらの治療に使われています。
ストラテラの副作用
副作用としては食欲不振や睡眠障害が起きることがあります。
また、喉の渇きや便秘・下痢といった症状がでることもあるようです。
体質などにもよりますので、異常を感じたら医師に必ず相談しましょう。
以前処方されていたリタリンは依存性が高く、社会的に避難されましたが、ADHDの人が使う限り、依存性はないと言われています。
ベビハピ!的まとめ
ADHD治療の第一歩は良い病院・医師を選ぶところから始まります。
実績があり、経験豊かであれば正しい診断ができますし、治療もスムーズに行えるでしょう。
また、親御さんのADHDに対する理解もとても大切です。
お子さんと二人三脚で、じっくりと治療にあたりましょう。