子どもの歯並びが悪い…矯正ってするべきなの?

歯並びが悪いと虫歯になりやすかったり、見た目にコンプレックスを持つことがあります。
「我が子には歯のことで悩んでほしくない」と思うのが親心というものですよね。
ですが、子どもの歯科矯正って疑問も色々とあるのではないでしょうか?
「歯並びがよくなるメリットは?」「矯正を始める年齢は?」「治療費ってどれくらい?」「期間はどれくらい?」
実際に多くの親御さんが、子どもの歯並び矯正に対するこうした疑問を持っています。
今回は子どもの歯並び矯正について詳しくまとめてみました!
お子さんの将来の「歯の健康」のためにもぜひご一読ください!
子供の歯並び悪化によるデメリットとは?
歯並びの良し悪しは、成長や生活に様々な影響を与えます。
子供の歯並びが悪いとどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
- 発音がしにくくなる…舌の位置がずれたり歯に隙間があることで、発音が悪くなることがあります。
- コンプレックスとなる…歯並びが悪いことが精神的苦痛になることも。口を開けたり笑顔になるのを嫌がることもあります。
- 消化不良になりやすい…歯並びが悪いと食べ物を噛みにくくなります。結果として胃腸に負担がかかり消化不良になることも。
- 肩こりの原因となる…かみ合わせが悪いことで筋肉のバランスが崩れて肩こりの原因になることがあります。
- 姿勢や骨盤の歪み…体のバランスが乱れ、姿勢の悪化や骨盤の歪みを引き起こすことがあります。
- 頭痛などの体調不良…歯並び悪化に起因する肩こりや骨盤の歪みから、頭痛や体調不良になることも。
- 虫歯になりやすい…歯並びが乱れていると歯みがきがしにくくなります。また、隙間が多いとプラークが溜まりやすくなるでしょう。結果として虫歯、歯周病の遠因となります。
歯並びは良くしたほうが良い
このように、歯並びが悪いことは様々なデメリットがあります。
口の中の問題だけでなく発育や健康、さらにはコンプレックスなど心の問題にまで発展することもあるのです。
人間にとって歯は一生ものであり、大切なものです。
「歯並びは一生を左右する」といっても過言ではないでしょう。
子供の歯並びが悪い…と心配であれば、小児歯科で相談をしてみましょう。
そして、治療をするのであればなるべく早い段階で行うことが大切です。
子どもが歯並びを矯正するメリットとは?
綺麗な歯並びは何も見た目が良くなるだけではありません。
子どもが歯並びを矯正することで、どんなメリットがあるのか見ていきましょう。
- 食事がおいしくなる…しっかり噛めることで美味しくご飯が食べられます。歯ざわりや食感などを的確に感じ取れるでしょう。
- 消化器系に優しい…食物を良く噛めるので胃腸に負担がかかりにくくなります。臓器への負担が減ると体質や成長にも良い影響があります。
- 発音がよくなる…歯は発音に大きく関わる部位です。歯並びが良くなれば綺麗な発音もしやすくなるでしょう。
- 運動機能の向上…かみ合わせが良くなると奥歯に力が入り、筋肉や関節の可動が良くなります。正しく力を伝えられるのでスポーツスキルも伸びやすくなるでしょう。
- 体調不良リスクの軽減…歯並びが悪いと肩こりや頭痛、骨盤のズレが起きやすくなります。歯列矯正によって体調悪化のリスクが軽減できることも。
- 質の良い睡眠ができる…かみ合わせが良くなると睡眠の質も高まりやすくなります。ぐっすり寝れることは、子どもの成長にも良い影響がありそうです。
- 虫歯リスクの軽減…矯正によって歯の隙間が減り食べかすが残りにくくなります。ブラッシングもしやすくなりますので、虫歯予防にもつながります。
- 治療期間が短い…成長段階の子どもは歯やアゴの矯正がしやすいと言われています。大人よりも若干治療期間は短くなります。
- 精神的に健やかになる…歯並びが良くなれば、見た目を気にせず明るい笑顔を作れます。メンタルヘルス的にも良い効果があるといえます。
- 費用が若干安くなる…成長期の子どもは歯並びを整えやすいといわれています。大人になってから矯正治療をするよりも治療費が若干安くなる傾向にあります。
このように、歯並びの矯正には多くのメリットがあります。
必ずしも治療をしなくてはいけない、ということではありません。
「うちの家系は歯並びが悪い…」「子どもの歯並びが良くない」
といった悩があるのであれば、メリットを考慮して歯科医に相談してみてもいいかもしれませんね。
歯並び矯正を始める時期はいつがベスト?
歯並びを矯正してあげたい、とはいっても歯が生え揃わない時期からは行えませんね。
また、「子供の成長に影響とかあるのでは?」と早期治療が不安な方もいるでしょう。
子供の歯並びを矯正し始めるベストな時期を考えてみましょう。
乳歯の時期から
矯正治療をするならば早いほうが良いと言われています。
でも具体的にはいつから?と、疑問ですよね。
歯列矯正は「乳歯」の時期からだと効果が得やすいと言われています。
年齢で言うと、5歳~10歳くらいまでの間、永久歯が生えそろう前ですね。
小児矯正ではこの時期の治療を「一期治療」としています。
アゴの骨のバランスをチェックしつつ、大きさを整えて本格的な矯正治療への準備をしていくわけです。
この時期に歯並びの矯正を始めておくと、本格的な治療がスムーズに行えるようになります。
ちなみに、状態が良い場合は一期治療のみで終了となることもあります。
医師からのお話をしっかりと確認しましょう。
本格治療は永久歯が生えてから
では本格的な子供の歯並びの矯正はいつから始まるのでしょうか?
12、3歳以降、子供の歯は乳歯から永久歯に全て生え変わっていきます。
成長期ですから、アゴの骨が大きくなるとともに治療が行えます。
また、虫歯の治療跡もほとんどなく、大人よりも矯正器具をつけやすいというメリットも。
小学校高学年からの本格矯正はスムーズかつスピーディーに行うことができるのです。
治療の流れは?
子供の歯の矯正はどのような流れで行われていくのでしょうか?
一般的な小児歯科での治療までの流れを見ていきましょう。
初診
矯正治療はお子さんにとって生まれて初めての大掛かりな歯科治療のはずです。
子供本人はもちろんのこと、親御さんも心配になりますよね。
初診ではそうした不安や疑問点の解消や希望する方向性を話し合って詰めていきます。
口の中は自分では見えないので不安も強くなります。
医師と患者・保護者が心を通わせることがまずは大切なんですね。
30分~1時間くらいしっかりと話し合った上で、口内や骨格の診察を行っていきます。
その後で今後の治療内容の方向性が決まっていきます。
詳しい診察
口の中の状態は人それぞれまったく違います。
子供となれば、今後の成長もあるのでひと目では判断がつきません。
ですから、矯正治療前には様々な詳細な検査が行われていきます。
レントゲン撮影や歯の型取り、口と顔全体の写真も撮ります。
さらに診察時点での歯並びや顎周辺の骨格の状態もチェックします。
あらゆる角度から診察をし、ベストな治療計画を立てていきます。
矯正治療計画の説明
歯並びの矯正は非常に長い時間がかかります。
子供の歯やアゴの成長に合わせて歯並び・かみ合わせを調整していく必要があるからです。
患者である子どもと親御さん、そして医師がお互いに理解しあった上で進めなくてはいけません。
詳細な診察によってわかったデータを元にして治療方法や期間を医師が計画していきます。
その計画に関する説明を受け、疑問やさらなる希望があればさらに話し合うことができます。
歯みがき指導
矯正治療にとって虫歯は大きな敵となります。
虫歯があると矯正器具を装着することができません。
また、矯正中に虫歯ができた場合は器具を外して治療しなくてはいけないのです。
歯が健康であることが矯正治療では大前提というわけなんですね。
虫歯にならないよう、治療前には必ず医師から歯磨き指導が行われます。
子どもはもちろん、親も「正しい歯磨き方法」を覚えて毎日のブラッシングに役立てましょう。
矯正治療開始
初診、詳細診察、計画立案、治療説明、歯みがき指導までが済み、やっと治療開始です。
矯正器具は最初の装着にやや時間がかかります。
およそ1~2時間かかり、直後は締め付けられるような痛みがでることも。
数日経つと徐々に慣れてきます。
途中経過
矯正装置(ブラケット)装着後は4週間~8週間に1回の頻度で検査を行います。
歯並びの状態を確認したり、治療の経過や装置の微調整を行っていくためです。
また、虫歯ができていないかをチェックしたりクリーニングもします。
診察時間はほとんどの場合は30分程度、長くても1時間くらいです。
治療期間としては1年半~2年程度ですので、それなりに長いと思っておきましょう。
お子さんの歯並びの状態、虫歯の有無、治療全体の難易度によっても変わってきます。
治療終了後
2年ほどの矯正器具装着が終われば、一旦そこで治療は終了です。
歯並びが整い、かみ合わせも以前に比べるとかなり良くなっていることでしょう。
ただ、矯正器具を外すと口の中はもとの状態に戻ろうとします。
せっかく綺麗な歯並びになったのに、そのままにするとまた乱れてしまうんですね。
そこで治療終了後も1年~2年くらいの「保定期間」というものをとります。
良くなった歯並びがその位置で落ち着くまで、アフターケアをしていくのです。
具体的には「リテーナー」という器具を使い、半年に1回くらいメンテナンスをすることになります。
取り外しのできる器具なので、歯みがきなどをするときは外しても構いません。
子どもの歯並び矯正で費用はどれくらい?
子どもの歯並びを治療するにはそれなりに長い期間が必要です。
治療器具の代金やメンテナンス費用…どれくらい出費するのか気になりますよね。
また、医療費控除は適用されるのかどうかも知りたいところ。
子どもの歯並び矯正にかかる費用についてまとめてみます。
歯並び矯正の料金目安
治療にかかる費用は歯科医院によって若干異なります。
また、大人と子どもで料金に差がでることはあまりありません。
一般的な費用は目安をご紹介します。
- 初診料…3000円前後(本格治療費に含まれる場合あり)
- 検査および診断料…30000円前後(レントゲンなど含む)
- 一期治療(乳歯期)…30~50万円(器具料金含む)
- 二期治療(永久歯期)…40~60万円(器具料金含む)
初診料は本格治療に合算され、無料となるケースもあります。
それと、一期治療後に歯並びの状態が良く「二期治療はやらなくてもOK」というケースも。
最も安い場合は40万円程度で済みますし、全て行うと100万円以上かかる可能性もあります。
また、歯並びの矯正には保険が適用されません。
実費となりますので、それなりの出費を覚悟することになります。
医師とコミュニケーションをしっかりと取り、治療計画と費用のバランスを親御さんは把握することが大切です。
医療費控除を受けられる?
歯並びの矯正は保険の対象外となります。
その代わり、医療費控除の対象にはなります。
歯列矯正治療は高額になりますので、できるだけ申請をするようにしましょう。
医療費控除は「治療が必要だと認められる」場合に申請が通ります。
成長途上のお子さんが健やかに発育するためには、歯並び・かみ合わせの治療は必要と考えられます。
ですから、まず問題なく医療費控除の対象となるはずです。
また、通院費も控除対象になります。
基本的にはバスや電車といった公共交通機関の利用分が対象です。
場合によってはタクシー代も控除で認められるケースがあります。
マイカーのガソリン代については対象外となります。
いずれにせよ、通院日時と交通費をしっかりと記録しておきましょう。
治療中・治療後のメンテナンス
矯正治療中、または治療後にはメンテナンスが行われます。
子どもの歯並び矯正ではどのようなことが行われるのでしょうか?
小児歯科でのメンテナンスについて少しまとめておきます。
定期的な検診
矯正治療では定期的な検診がかかせません。
歯やアゴの発達や状態を診る必要があるからです。
状況によっては治療計画を新たに組み直すこともあります。
また、矯正治療中は虫歯に注意しなくてはいけません。
矯正装置がついていると磨き残しが多くなりがちです。
そこから虫歯ができることも少なくありません。
矯正器具をつけたままでは虫歯は治療ができませんし、なにより早期治療が必要です。
定期検診により磨き残しや虫歯の有無をチェックすることが大切です。
歯みがき指導(TBI)
メンテナンスの一環として、歯科衛生士による「歯磨き指導」も行われます。
TBI(Teeth Blushing Instruction=歯磨き指導)とも呼ばれています。
歯の位置や大きさ、アゴの発達具合などは人により様々です。
また、成長期のお子さんは口内の状態が日に日に変わっていきます。
だからこそ、TBIにより正しい歯磨き方法を学ぶ必要があるのです。
TBIではその子に合った歯みがき方法を指導します。
磨き残しが原因となる虫歯を予防するのに大いに役立つことでしょう。
特に歯並び矯正治療中は器具の境目にプラークが溜まりやすくなります。
お子さんはもちろん、親御さんもしっかりと「正しい磨き方」を学びましょう。
保定装置の装着
矯正治療後のメンテナンスも大切です。
矯正装置は「歯を動かして歯並びを良くする」ものとなります。
取り外すと歯は自然と「元の位置」に戻ろうとする…つまり歯並びがまた悪くなることがあるんですね。
せっかく矯正した歯並びですから、そのまま保ちたいもの。
そこで保定装置というものをつけていくことになります。
動かして正しい位置にした歯を固定する役割があります。
保定装置=リテーナーの装着期間は2~3年と言われています。
最初の1年…歯みがき以外は基本つけっぱなし
2~3年目…定期健診で様子を見つつ外す時間を延ばす
個人差があるので必ずしも2~3年でリテーナーを外せるとは限りません。
ただ、正しく着用していれば外す時間は徐々に延びていきます。
普通に生活するのと変わらないくらいにはなるでしょう。
医師と相談をしつつ、歯並びを保つためにも治療後もちゃんとメンテナンスをしていきましょう。
親が気をつけることとは?
子どもの歯の問題は、なにも歯並びだけではありません。
虫歯や歯周病、その他色々とデンタルヘルスでは注意すべきことがたくさんあります。
歯並びおよび、小児歯科にかかる上で「親の心構え」についても少しだけ学んでおきましょう。
歯みがきを徹底する
子どもの歯並び矯正中は虫歯に注意しなくてはいけません。
矯正器具をつけていると食べかすが残りやすくなりがちです。
ですから、まずは親が正しい歯みがきの仕方を理解していきましょう。
仕上げ磨きはもちろん、お子さんにやり方を教える環境つくりが大切です。
歯の大切さを伝え、歯並びだけでなくトータルでデンタルケアへ取り組んでいきましょう。
メリットを理解する
ご紹介したように、子どもの歯並び矯正には様々なメリットがあります。
親御さんがそれを理解することはとても大切なことです。
ママやパパがわかっていないと、お子さんも理解できません。
「なんでこんな器具をつけないといけないの?」と矯正器具や治療に不安を持つ可能性もあります。
親御さんが歯並び矯正のメリットを理解し、お子さんと共有することを目指していきましょう。
親が意識的に取り組む
欧米諸国では出産と同時期に「矯正治療の積立貯金」を始めるご家庭が少なくありません。
これは「子どもの歯並びやかみ合わせを正しくするのは親の責務」という意識があるからです。
欧米では「歯並びが悪い人は出世できない」なんて話があります。
自分の体・健康を整えられない人は仕事でも信用がない、という考え方があるからだそうです。
ちょっと大げさな例でしたが、「お子さんの将来」を大切に考えるのはどこの国も同じです。
歯並びが悪く見た目が良くない、虫歯になりやすい、集中力が欠けてしまう…。
将来、お子さんがそういった悩みを抱えないためにも、できることをやるのは親として当然ですよね。
歯並びの矯正はもちろん、「歯の大切さ」を親が理解しましょう。
そしてまずは、小児歯科で定期健診を受け、相談をしてみてください。
そうしたデンタルヘルスへの意識的な取り組みが、何よりも大切なことです。
ベビハピ!的まとめ
今回は、子どもの歯並び矯正についてまとめました。
歯並びを良くするには、なるべく早い時期から行うのがベストと言われています。
治療費はそれなりに高額ですが、試してみるのも良いかもしれませんね。
いずれにせよ、定期的に歯科検診を行い、相談を重ねていくことが大切なのではないでしょうか!